The 13th Lab. −第13研究室−

大阪のとある大学から、技能習得型のインターンシップの運用のご依頼を頂いた。
条件は、文系学部の学生のインターンシップを東大阪市内の製造業で実施し、自分の専攻分野の知識・技能と主体的に学ぶ意欲を高めること。
期間は二週間、つまり90時間で実習2単位相当。このあたりは、いかにも大学らしいところだが、実践型のインターンシップではないのに、実践型に近いくらいの仕込み、すなわちプロジェクト設計が必要な、ちょっと珍しい案件だ。

2016-12-09-14-19-04

1 実践型でないのにプロジェクト設計

実践型インターンシップでは、企業の経営課題の解決に資するプロジェクトに取り組む。その中で学生が自ら仮説検証を繰り返して成果を出す。これによって企業と学生にWin-Winの関係が作られる。
したがって、企業に「どのような経営課題」があり、「どのような仮説」を「どのような行動」を通して検証するかを事前に設計しておく必要がある。これが、インターンシップのプロジェクト設計だ。

では実践型ではないインターンシップではどうなのか?
例えば、職場見学に近い形であればプロジェクトは存在しなかったり、直接業務に影響しないワークショップなどを取り入れる場合もある。
技能習得型のインターンシップでは、企業のOJT(On the Job Training)の流れに乗って、現場での業務を通して特定の職業に必要な技能を得るという形が主流で、こちらも明確に期限、資源、成果をさだめたプロジェクトにすることはあまりない。「見習い」的なことができれば良いからだ。

それに対して今回は、一見縁のなさそうな企業で学生自身が自分の専門分野の知識を活かし、技能を高めることを目的としている。
そのようなことを通常のOJTプログラムで実現できる企業などなく、無理に実施しようとすれば企業も学生も意味を見いだせなくなって疲弊する可能性が高い。
そのため、企業にとっての価値と学生の学習効果を両立させるための設計が必要になる。

2 プロジェクト設計の視点

実践型インターンシップでは、「企業の課題解決にむけた仮説検証」がプロジェクト設計の重要な視点になる。<br />
それに対して、今回のインターンシップでは、「企業活動を学生の専攻分野のフレームワークで見ることで企業の課題解決につながる」ことが、最も重視される視点だ。

プロジェクト設計の手法自体は大きく変わることはない。

  1. 経営者がどうしても成し遂げたいことを明らかにする
  2. そこに至るまでの道のりを描く
  3. その際に超えるべき壁、すなわち課題を洗い出す

というステップは共通だ。
実践型インターンシップの場合には、洗い出された課題の中から、学生が取り組んだほうが効果的なものを選び、細かなマイルストーンを作っていくのだが、今回は、それに加えて

学生の専攻分野とのつながりが見いだせそうな部分

に絞り込む。
学生の専攻分野に関する知識技能レベルが非常に高ければ、学生というよりも専門家に近い立ち位置になる。その場合は、そこに特化したプロジェクトを設計することになるが、それはよほどのレベルの学生に限られる。
そこに至っていない学生の場合には、専門性につながるようなガイドが必要で、業務の順序や成果目標でそれを実現することになる。

3 成果目標

インターン生の成果目標の設定は、大学教員が妥当だと考えるものより少し高めにする方が良い。
大学内での学生の姿しか見ていない教員の目には、学生のポテンシャルが低く映る傾向があるからだ。
「うちの学生にはちょっと難しいんじゃないか」と言われるくらいの目標設定が必要であり、できれば

あぁ、この流れならなんとかなるかも

と思えるようにプロセスも設計すると良い。

ここまで考えて設計しても、実際に学生が動き出すと必ずしも思惑通りには進まない。
日々の活動に対して、教員から速やかに評価(フィードバック)を与えるなどの運用上必要な手順もいくつかある。
実際にプロジェクトが動くのは2月。学生と教員の双方がどのように動くのか、それがこちらの設計の想定範囲内なのかどうか、検証は春以降になりそうだ。

技能習得型インターンシップでのプロジェクト設計第13研究室で公開された投稿です。

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