The 13th Lab. −第13研究室−

新潟大学のFD研修にお招きを頂いた。

テーマは

大学教育として学生の力を伸ばし,企業・地域にも価値をもたらすインターンシップ・PBL型講義の設計

というもので、インターンシップに限らず地域の企業と連携したプログラムの設計手法に関する事例紹介と講義、プロジェクト設計の演習を行った。

1 地域と連携した科目の設計と運用

宮城のCOC+事業で展開している単位互換コア科目の一つである「地域の課題I」を事例に、地域や企業と連携したプログラムの設計と運用、評価についてお話しした。

座学と言えども、設計上のポイントはPBLやインターンシップと異なるものではない。
企業にとっては自社の経営革新に、学生にとっては仮説検証能力の強化につながることが必須条件だ。

そのために設計段階では企業の選択がとても重要なポイントになる。
授業でご一緒する企業はどこでも良いというわけではない。
学生が仮説検証プロセスを実際に回すことができるためには、その企業が成長意欲を持ち、具体的な仮説を持っていることが求められる。
最低でも、コーディネーターが関わることでそのあたりの仮設が明確になる企業でなければならない。

適切な企業が見つかれば、その企業の発展の可能性を見出すためのインタビューを行う。
そこでは、その企業の将来の方向性とともに、現在に至るまでの流れを聞く。
過去からの流れを一旦踏まえて初めて将来像が描け、そこに至る課題が見えるからだ。

ここまでできて初めて授業やプログラムの設計に入る。
その際に重視するのが

  1. 認知的コンフリクト:既有の知識・スキルで対応しきれないことに取り組めるようにする
  2. 学生間の相互作用:学生同士で考えをブラッシュアップできる、まあ田はせざるを得ない状況をつくる
  3. 形成的評価:学生のアウトプットに対して、学習目標に近づけるようなフィードバックを提供する

の三点。
これらを適切に埋め込んだ講義を展開することで、学生個人の深い学びを促進し、教室内をそれにつながる学習コミュニティに変化させることができる

2 地域と連携した科目の評価

地域と連携した科目では、特定の知識やスキルの獲得を目指すと、連携先もプログラムも限られたものになりなかなかうまくいかない
それよりも、思考行動特性、いわゆるコンピテンシーの強化を目指すほうが効果的だ。
特に、企業との連携プログラムを通して強化されるのは、成果につながる思考行動特性、すなわち①持続的挑戦、②協働/ネットワーク構築といったものがある。これらは通常の大学教育で強化する機会が比較的少なく、卒業研究以降に機会を得るものなので、企業と連携する価値は十分にある。

一方地域コミュニティと連携したプログラムでは、価値認識特性、すなわち自分自身と世界との関係を捉える能力が強化される。自分や事象を取り巻くネットワークの分析能力などがこれに当たる。大学教育の中では卒業研究を中心とした探究型の科目で獲得することが期待される能力だ。
価値認識特性は、教員などが「○○と△△の間には□□の関係がある」などと伝えても、頭で理解するにとどまり、個別の出来事に適用することはできない。自ら、目に見えない関係性を見出すことが必要になる。そのため、大学という固定された環境から離れることで、より多様な関係性に気づく機会が得られる可能性がある。

これらの学習目標と学習の手法が適切にフィットしたとき、地域と連携した教育プログラムの適切な評価ができるようになる。

3 プロジェクト設計

地域と連携した大学の教育科目として押さえておくべきポイントはPBLやインターンシップでも共通だ。
それは一言で言えば

企業にとっての価値と学生の学習効果の両立

に他ならない。

ここで考えるのが企業にとっての「将来の」価値
もっと言えば将来の利益に繋がる可能性のある課題を見出しプロジェクト化することだ。
そのために経営者が本気で取り組みたいこと/取り組むべきことについて、鋭く、深く突っ込むことが求められる。
これは必ずしも簡単なことではない。
経営者自身思い込みや、周囲への体裁、義務感や責任感等々、本当の課題を覆い隠す情報が数多くある。
そこで、経営全体を俯瞰するフレームワークを持つことが重要になる。

私自身が活用しているのは「戦略マップ」の考え方だが、他のフレームワークを用いても良い。
重要なのは、顧客との関係性やイノベーションのプロセスをどう改善していくのかを洗い出し、その中で試行錯誤の繰り返しが必要な部分を切り出してプロジェクト化できることだ。

ご参加いただいた皆さんからは

  • すぐに今のプロジェクトや授業に活かせそう
  • 時間が足りない。講師に質問をもっとしたかった。
  • 理論と実事例を具体的にわかりやすく伝えていただけ、応用しやすい内容であった
  • 授業の具体的な組み立て方の話を聴くことができてありがたかっ
  • 常に自分がどうすればよいかを考えることが出来た
  • インターンシップで企画提案をさせて、結果にガッカリしていたため、ポイントが分かった
  • 実施しているからこそのノウハウを聞かせていただけ
  • これまで考えていなかった観点からのフォーラムだった。
  • インターンシップ報告書の書き方(記入項目)と、発表内容を今回のものに活かしてみたい(職員)

と言ったお声を頂いた。
今回の研修では時間の都合でプロジェクト設計の要点までのお話をさせていただいたが、できれば、この先のプロジェクトの精度を上げる話をする機会をいただけると更にお役に立てるはず。

ということで、また呼んでください!

学生の力を伸ばし,企業・地域にも価値をもたらすインターンシップ・PBL型講義の設計第13研究室で公開された投稿です。

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