自分で考えたプロジェクトを実行しようとする・・揺するにマイプロを始めた学生さんが初めてメンターと対面する前に送ったメールが発掘されました。
若い人が大人と関わるときの参考になるといいなと思い掲載します。
目次
1 そもそもメンターって何なのよ?
メンターというのは、ギリシャ神話でオデュッセウスが・・・なんてうんちく話はWiki先生に教えてもらうとして、一言で言えば、皆さんがプロジェクトを進める上での助言者兼“師匠”です。先生ではないところがミソです。
先生は、いわば正解に導いてくれる人。師匠は、「問題に取り組む姿を見せ、必要に応じて声をかけることで、弟子が最も成長できる環境をつくる人」です。
皆さんのプロジェクトは、すべて新しいことへのチャレンジです。どんな本を見ても正解は書いていません。ですから、似たような体験をした人から「どう乗り切るかのヒント」を得ることが最良のサポートになるのです。現地のネットワークを紹介していただくような場合もありますが、それが主ではありません。大事なことはメンターの言動から、自分が何を考え、どう行動すべきかを考えることです。
したがって、みなさんにご紹介するメンターは、理論だけではなく、「自分で新しい道を切り開いている人」です。自分自身が挑戦し、時には失敗もし、人に支えられて壁を乗り越えてきた経験を持つ人ばかりです。あなた方が壁にぶつかったときに、その傷みやつらさをリアルにわかる人たちです。だからこそ、皆さんの成長に本気で期待し、必要な手助けができるのです。
2 メンターとどう関わればいいの?
これまでの話から、「メンターって、なにやらすごそうな人」だと感じてしまうかもしれません。でも、「自分はすごい」と思っているメンターはいません。メンターを引き受けてくれる方は、皆さんと関わることで自分自身が成長できることをよく理解されている方ばかりです。ということは、「自分にはまだ成長の“のびしろ”がある。若者の手助けをすることで若者から学べる」という意識を持っている人たちです(だからこそすごいんですけどね・・・先達が思いっきり学ぶんだから、後を追う方はもう大変・・・笑)。ま、お互いに学びあえる関係ができるとハッピーなわけです。
そんなわけで、皆さんとしては縮こまる必要は全くありません。自分が「こうだ!」と思うことをそのままぶつければOKです。といわれても、「何を、どうぶつければいいんじゃ?」と突っ込みたくなるのが人情ですね。ということで、(一応)メンタリング理論をもとにしてちょっとまとめてみました。
1)自分がなぜプロジェクトに取り組むのかを伝えきる
なぜ自分なの?なぜ今なの?誰をハッピーにしたいの?・・そういったことをしっかりと伝えるのが第一歩です。さらにいえば、このプロジェクトに取り組むことで、「自分がどうハッピーになれるのか」を伝えられるともっといいですね。他人のためにがんばるのは尊いことですが、自分を犠牲にしてやるのはおすすめできません。そういうのって、相手からしたら重いですよね。こちらも、気持ちが伝わらなかったら「ちぇっ、せっかくやってるのに、なんでわかってくんないんだよ!?」と愚痴の一つもいいたくなります。ちゃんと、皆さん自身のハッピーをしっかり追いかけてくださいね。
2)現状を伝える
今までどんなことをやってきたか、今どういう状態にあるかを、“事実”と“気持ち”で伝えます。事実は小さいことでもよいので、客観的に積み重ねましょう。それらの事実を自分がどうとらえているかを、その時の素直な言葉でいつも伝えましょう。解釈が間違っていても全然OKです。一年たったら違うことをいっていても不思議はありません。だって、人は成長するんですから。でも、今この瞬間に感じていることは、今のあなたの気づきです。それが将来どう変化していくかをむしろ楽しんでください。
3)責任を分かち合う
みなさんにはプロジェクトをやりきる責任があります。「やる」責任ではなく、「やりきる」責任です。「これくらいできていれば、ま、許せるか」というレベルではなく、「先々は知らないけど、今の自分にとってはこれ以上の行動はもうムリ!!」と自分が納得できるだけの行動をするという責任です。一つ一つの行動について自分自身に対して「やりきったか?」という問いをぶつけてください。えらそうに書いている私自身、常にできていると豪語できる立場ではありません。それでも、この問いを持つことで、やりきれていないことを猛反省して次につなげることができています。自分で自分にムチを入れられる人でありたいですね。
これに対してメンター側には、みなさんのプロジェクトを支えきる責任があります。みなさんが全力を出し切れていないときには、出し切れるようにあの手この手のサポートをする責任です。時にはそれがうっとうしく感じられるかもしれません。でも、そんなときは、「メンターがスーパー本気モード」でみなさんの成長に力を注いでいるのだと思ってください。
4)成果と喜びを分かち合う
みなさんがやったこと、できたことはどんどんメンターに伝えてください。どんなに小さなことでもOKです。何かができたということは、あなた方自身にもとってもそうですが、メンターにとって大きな喜びになります。ましてや一緒に喜べたら・・お互いにハッピーですよね。だから、いろんなことを思いっきり自慢しちゃってください。
3 どきどきの初対面・・・どうしよう?
ここまでのことが頭で理解できても、いざメンターと初めて会うときはとてもどきどきします。つきあっている彼女の親父さんに会うようなもの・・・というほどではないにしろ、年齢も経験値も上の人と話をするのは、ちょっと根性がいるかもしれません。そこで、メンターと初めて会うときに、「これだけはできているといいな」ということを絞ってみましたので参考にしてください。
1)まずはあいさつ
できればさわやかなのがよいですが、ムリをする必要はありません。どよ〜〜〜んと暗い感じの人も、そこに劣等感を持たなければ結構よい味になるものです。一つ、気をつけておくといいかなと思うのは、ムリに「大人ぶらない」ことです。メンターとの関係は師匠と弟子です。ビジネスの関係ではありません。もちろん、礼儀は守る必要がありますが、就活セミナーや学生団体で教わるような大人びた対応は必要ではありません・・というか、むしろ邪魔です。ましてや、「かっこよく見せよう」と努力するのは、ぶっちゃけ無駄なあがきです(笑)。なるべく、自分の素直な心をさらけ出すようにしましょう・・・て、それがなかなか難しいんですけどね。だから、“なるべく”で。
2)自分の本気を見せる
自分が誰のどんなハッピーをつくるなめに、何をやりきるのか。それを素直な言葉で伝えましょう。ビジネスのプレゼンみたいにかっこつけないでくださいね。どうせ、採点されるわけでもないですし。
とはいえ、相手にわかりやすく伝えるという工夫は必要です。みなさんは短いプロジェクト期間の中で多くの人と関わり、協力してもらわなければなりません。その第一歩だと思って準備してください。イメージ的には、A4の紙1枚くらいに、伝えたいことをまとめて持参するのがよいでしょう。それを2分ですっきり話せるとよいですね。その資料や原稿を作り込む過程で、どんどん不要なものをそぎ落としていきます。それは、自分の「思いを磨く」ということでもあるのです。自分で、「やりきった!」と自信を持って言えるようになるまで何度も何度も作り直しましょう。
3)メンターの言葉を聞く
メンターがどんな人で、どんな生き方をしているか。人とどんな関わり方をしているか。今までどんなことをしてきた人か。これから何をなそうとしている人か・・・一つ一つの言葉がみなさんにとってのプレゼントです。どんな教科書にも載っていない、みなさんのためだけの特注のプレゼントです。言葉の表面を頭で理解して満足するのではなく、どのような生き方に裏付けられた言葉かを聞き取るようにしてください。
プロジェクトに対するフィードバックもあるでしょう。メンターの言葉の善し悪しをすぐに判断するんじゃなく、その言葉を発する意図をくみ取るように努力してください。くみ取れなくてもいいから、くみ取ろうという努力だけはしてください。
4)メンターの元で学ぶ覚悟をしっかり宣言する
みなさんのメンターになってくださる人たちは、世間一般的にみてチョー忙しい人ばかりです。やらなければいけないことをたくさん持っています。そんな人の意識と時間をみなさんに振り向けるのは、みなさんが本気でメンターから学び、プロジェクトに取り組むからです。その本気さをしっかり伝えてください。
4 プロジェクト中の関わり方
まず基本は、先ほども書きましたが「決して自分をかっこよく見せようなどと考えない!」ということです。ま、そういうのも大人からみるとかわいいのですが、そこにメンターの意識と時間を使うのはもったいないですよね。もちろん、みなさん自身の力も無駄遣いすることになります。メンターはみなさんを支えるための存在であって、みなさんを本当に傷つけることは決してありません(一時的に落ち込むことはあるかもしれませんが、絶対に致命傷にはなりません)。厳しいフィードバックも、安心して受け止めてください。
という前提条件をふまえて・・・せめて毎週1回はプロジェクトの進捗を報告するようにしましょう。週報と同じような中身になるかもしれませんが、他の人には見せたくないような“へちょい”部分も見せてOKです。適切な助言なり、叱責なり、放置なりが与えられます。
報告の際に、自分のニーズを伝えるとメンターとしては対応しやすいですね。特に
1)何をどうしていいか全然わからないので教えてほしい
2)今むっちゃピンチだから助けてほしい
3)自分でもがんばっているけどちょっと手伝って、支えてほしい
4)自分でやりきれるから見守ってほしい
のうちのどういう状態かを伝えると、一番ふさわしい対応が得られます。とにかく素直になるのがミソです。
メンターからもらえるアドバイスはみなさん専用の特注品です。いったんは素直に受け止めて、その意味をじっくり腹に落とし込んでください。だからといって、「メンターに言われたとおりにやれ」ということではありません。しっかり落とし込んだ上で、自分自身がどう動くかを自分で決断しましょう。自分のプロジェクトの責任は自分が負うのですから。
5 さいごに
長々と書きましたが、メンターはみなさんのプロジェクトを加速させるカタパルトのようなものです。みなさんのプロジェクトが本当に世の中に必要なものだと確信しているのであれば、このカタパルトに乗って最大限に加速してください。少し負荷はかかりますが、間違いなくあなた方にとってプラスになります。プロジェクトの成功とみなさんの成長を本気で願って自ら巻き込まれてくれる先輩たちの力を最大限活用してください。