高等教育は完結するものではなく、人の生涯にわたる学びと成長の中に位置づけられるもの。

初等・中等教育、高等教育、生涯教育を一連の教育システムとして捉えることで、それぞれの高等教育機関が自らの役割や、教育課程の位置づけ、初等・中等教育との接続、社会人のリカレント教育もすべて同じ文脈の中で考えることができます。
それが大学のすべての戦略の根幹となります。

高等教育を生涯にわたる学習の一つのステージと定義することで、ディプロマ・ポリシーは人の学習と成長のマイルストーンとなります。
すなわち、

卒業生の将来的な学習と成長を見据えて

在学期間中に身につけておくべき専門知識・技能、思考行動特性、価値認識特性といったことを示すものとなります。

高等教育を生涯にわたる学習の一つのステージと定義することで、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)も、ディプロマ・ポリシーと同様に人の学習と成長のマイルストーンとなります。
この二つのマイルストーンの間を確実に進めるように学習プログラムを配置したものが教育課程(カリキュラム)です。

ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)は、「各大学、学部・学科等の教育理念に基づき、どのような力を身に付けた者に卒業を認定し、学位を授与するのかを定める基本的な方針であり、学生の学修成果の目標ともなるもの」(2016年3月31日中央教育審議会大学分科会大学教育部会ガイドライン)とあります。
ディプロマ・ポリシーでは、卒業生が身につけるべき能力が明示され、企業等が卒業生を採用する際の参考となることが求められています。
ここから、ディプロマ・ポリシーは大学教育の出口を規定するものと一般的には捉えられます。
しかし、高等教育の意味づけを少し拡大すると違う側面が見えてきます。

ディプロマ・ポリシーでは、専門知識・技能、汎用的能力、価値認識特性のそれぞれが、

卒業後どのように伸びることを想定しているかをもとに、卒業時の到達レベルを記述

します。
これらはそれぞれ、学科ごとの教育目的、社会との接続、大学の理念の視点から記述できます。
専門知識・技能については、各学科の教育を通して、どの範囲の専門知識・技能についてどの水準まで獲得するかを記述します。
学科教員を中心に、卒業後に獲得すべき知識・技能や、それを得るための活動、高等教育機関で得た知識・技能の活用イメージから逆算して、卒業時点での状況を描きます。

アドミッション・ポリシーは、高等教育機関が提供する教育を通してディプロマ・ポリシーで定めた水準、卒業後の想定される水準まで成長可能であると見込まれる入学者を選抜するための方針です。
ディプロマ・ポリシー同様、知識・技能、思考行動特性、価値認識特性について言及する必要があります。

高等教育では、ディプロマ・ポリシーを起点とした全学および学科の組織的な教学マネジメントと、専門知を生み出す能力を持つ教員の「師」としての薫陶が両輪として機能することが、学生の能力開発と生涯にわたる学習、その結果としての幸福につながるのです。

・・・というセンスで教学マネジメントを捉えているのですが、異論はいろいろあるでしょうね(笑)